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アートと潜在意識

専任アドバイザー

小野 京子

アートと潜在意識

今回は、アートと潜在意識についてみていきます。

ある作家が言っています。「私は人類の一番後ろから歩いていきます。そして人類が落としていく大切なものを拾って小説を書きます」と。

小説にしろ、絵にしろ、音楽、踊り、演劇、映画にせよ、人の苦しみ、喜び、悲しみ、怒りなど、人の体験するすべての体験を、アートで表現することができます。

アートは、本当に器が大きいです。ピカソのゲルニカやバッハの壮大な音楽に感動したり、恋を詠んだ句、流行歌に心を慰められることもあります。

昔の人、原住の民(先祖代々ある土地に住んで伝統を重んじている民族)はこう言います。「あなたが歌うこと、踊ること、沈黙の甘さを忘れた時、あなたは魂を失います。」と。
それほど、人の魂にとって歌ったり、踊ったり、表現することは、大切なこと。人が生き生きと生きる上で、アートは私たちが思っている以上に、水や食べ物と同じように必要なものかもしれません。

前回、発明やアイディアを得るには、一度頭を使うことをやめる必要があることをお話ししました、

アート表現をしているときは、普段の意識と違う、変性意識状態になります。意識が今ここに集中しています。そして言葉を超えた表現をする時には、イメージやシンボルも関わり、潜在意識と触れています。半分夢を見ている感じです。どんな絵の具をどこに塗ろうかと思う時に、なんとなく次は何色で、ここに塗ろう、と思うわけです。それこそ、直感や感覚を使っています。頭ではっきり理論的に決めているわけではありません。この状態が無意識とよい感じで触れているんです。

メンタルヘルス的に言っても、「今、ここ」にいる状態はとてもよいのです。過去を思い煩わず、未来に不安を抱いていないからです。何か悩み事があったとしても、アート活動をしている時にそれを忘れていると、悩みと適度の距離ができます。

瞑想状態の時にもこの変性意識状態になるのですが、この状態は意識や心を生き生きとします。禅の大家の鈴木大拙は、禅は「生の復活」と言っています。

アート表現で自分の内面を表す場合、自分との対話がなされ、それを表現することで自分と繋がり、それを外に表す時今度は外界と繋がります。アートとは、自分と繋がり、世界とつながる行為と言えます。

潜在意識を活性化したい時、絵を描いたり、詩を作ったり、アート活動をしてみませんか。