専任アドバイザー
小野 京子
狼になった私
狼になった私
今回は、表現アートセラピーのわたし自身の体験についてお話しします。
大学のころ人生に悩んでいました。心理学を勉強していたので、もっといろいろな心理療法を学びたいと思いアメリカに留学しました。そこでいろいろなセラピーを学び、自分でも受けてみました。カウンセリングに始まり、スポーツ療法、アートセラピー、ダンスセラピー、グループ療法、プライマルセラピーなどなど。
でも一向に自分が癒される感じがしませんでした。カウンセリングも受けて悩みや家族関係について話すと少しは頭が整理されるのですが、頭の中にある「こんなに悩む私」は変化せず、癒された感覚は得られませんでした。カウンセリングはもちろん効果があるものですが、当時の私にはインパクトが少なかったのです。
そこで出会ったのが、表現アートセラピーでした。芸術療法のジャンルの一つで、絵、ダンス、ムーブメント、音楽、詩や物語を書く、ドラマなど、いろいろなアート表現を使います。絵は下手でしたし、アートは才能があるアーティストが行うものと思っていたので、トレーニングについていけるか不安でした。でもやってみると子ども心に戻って、遊びながら表現するのでとても楽しく癒されました。絵の上手下手は問われず、分析や解釈もされない療法でした。
ある「セッションで、私は狼になりました」、と書くとビックリされると思いますが、もちろんイメージの中でのことです。当時私は「寂しさ」に悩まされていたのですが、イメージの中で狼になることで、「寂しさ」についての感覚を180度転換するような体験をしました。
「守護動物と出会う」というセッションです。私に現れたのは狼でした。狼になって、森を走りるイメージが湧きました。夜、森の中で彼はひとりでした。彼の体には情熱がみなぎり走る快感で満たされています。そして森や自然と一体になって走っています。ひとりなのにまったく寂しくないのです。ひとり夜の森を走る爽快感を感じました。
寂しくない寂しさ、一人でいる爽快さ。これをloneliness(寂しさ)でないsolitude(よい意味の孤独)と呼ぶようです。そんなsolitude を体験しました。そして寂しさにもグラデーションがあることを発見しました。甘い寂しさ、清々しい寂しさ、荒凉とした寂しさ、などいろいろな寂しさがあることを発見しました。
私の頭の中で長い間、「ネガティブな寂しさ」が固定されていました。その「寂しさ」から抜け出せなかった私が、清々しい、ポジティブな寂しさを体験したのです。絵を描いたり,ムーブメントを行うことで、硬く固定された頭の中の縛りから解き放たれ、潜在意識の中のリソースとつながり、自分の中にあるとは思わなかったポジティブな寂しさや生命力と触れることができました。
日常の意識状態では体験できないようなことが、絵やムーブメントなどを使い潜在意識と繋がることで可能になりました。そして私は「癒し」とエンパワーメント(自分のパワーアップ)を得ました。
「狼になった」と言うと驚かれますが、夢の中で何にでもなれる感覚と似ています。ただ意識ははっきりしていて自分が実際にはイメージの世界にいることがちゃんとわかっています。でもそこで感じた爽快感は、夢でなく現実の体験として自分に生かしていくことができ、新しい体験として自分の中に記録されました。
少しだけ、表現アートセラピーについてイメージが湧いていただけたでしょうか。
写真:本の表紙(私の著書)の一番下が、その時の狼の絵です。
今回は、表現アートセラピーのわたし自身の体験についてお話しします。
大学のころ人生に悩んでいました。心理学を勉強していたので、もっといろいろな心理療法を学びたいと思いアメリカに留学しました。そこでいろいろなセラピーを学び、自分でも受けてみました。カウンセリングに始まり、スポーツ療法、アートセラピー、ダンスセラピー、グループ療法、プライマルセラピーなどなど。
でも一向に自分が癒される感じがしませんでした。カウンセリングも受けて悩みや家族関係について話すと少しは頭が整理されるのですが、頭の中にある「こんなに悩む私」は変化せず、癒された感覚は得られませんでした。カウンセリングはもちろん効果があるものですが、当時の私にはインパクトが少なかったのです。
そこで出会ったのが、表現アートセラピーでした。芸術療法のジャンルの一つで、絵、ダンス、ムーブメント、音楽、詩や物語を書く、ドラマなど、いろいろなアート表現を使います。絵は下手でしたし、アートは才能があるアーティストが行うものと思っていたので、トレーニングについていけるか不安でした。でもやってみると子ども心に戻って、遊びながら表現するのでとても楽しく癒されました。絵の上手下手は問われず、分析や解釈もされない療法でした。
ある「セッションで、私は狼になりました」、と書くとビックリされると思いますが、もちろんイメージの中でのことです。当時私は「寂しさ」に悩まされていたのですが、イメージの中で狼になることで、「寂しさ」についての感覚を180度転換するような体験をしました。
「守護動物と出会う」というセッションです。私に現れたのは狼でした。狼になって、森を走りるイメージが湧きました。夜、森の中で彼はひとりでした。彼の体には情熱がみなぎり走る快感で満たされています。そして森や自然と一体になって走っています。ひとりなのにまったく寂しくないのです。ひとり夜の森を走る爽快感を感じました。
寂しくない寂しさ、一人でいる爽快さ。これをloneliness(寂しさ)でないsolitude(よい意味の孤独)と呼ぶようです。そんなsolitude を体験しました。そして寂しさにもグラデーションがあることを発見しました。甘い寂しさ、清々しい寂しさ、荒凉とした寂しさ、などいろいろな寂しさがあることを発見しました。
私の頭の中で長い間、「ネガティブな寂しさ」が固定されていました。その「寂しさ」から抜け出せなかった私が、清々しい、ポジティブな寂しさを体験したのです。絵を描いたり,ムーブメントを行うことで、硬く固定された頭の中の縛りから解き放たれ、潜在意識の中のリソースとつながり、自分の中にあるとは思わなかったポジティブな寂しさや生命力と触れることができました。
日常の意識状態では体験できないようなことが、絵やムーブメントなどを使い潜在意識と繋がることで可能になりました。そして私は「癒し」とエンパワーメント(自分のパワーアップ)を得ました。
「狼になった」と言うと驚かれますが、夢の中で何にでもなれる感覚と似ています。ただ意識ははっきりしていて自分が実際にはイメージの世界にいることがちゃんとわかっています。でもそこで感じた爽快感は、夢でなく現実の体験として自分に生かしていくことができ、新しい体験として自分の中に記録されました。
少しだけ、表現アートセラピーについてイメージが湧いていただけたでしょうか。
写真:本の表紙(私の著書)の一番下が、その時の狼の絵です。